日々の雑事と、小説に関する事柄を不定期に。

2008/04123456789101112131415161718192021222324252627282930312008/06

kasei.jpg

第四回小松左京賞受賞作。長編SF小説。

 発行:角川春樹事務所(単行本)
 初出:2003年12月8日

関連リンク:『Anima Solaris』第44号・著者インタビュー

表紙絵:田中達之
 (関連サイト:第七公団.NET  田中達之氏のファンサイトです)
コメント
この記事へのコメント
表紙絵の話
 この本は、出版当時、毎日新聞の書評欄にあった「Cover Design」(いまはない)で取り上げて頂き、非常にうれしかった思い出があります。各種メディアでの扱いは、インタビュー以外は著者本人のあずかり知らないところで進行しますので、ある日突然、誌面・紙面に載っているのを見つけて驚くわけです。

 表紙絵を描いて下さった田中達之さんは、ゲームやアニメ方面の仕事でファンの多い方で、田中さん関係のほうから拙作を手に取った方が結構おられることを、出版後しばしば耳にしました。本当にありがたいことだと思っています。また、田中さんを知らない方からも「あのカバーはなかなかいいね」という声をよく聞き、それが若い人だけでなく結構年配の方だったりもしたので、やはり非常に力のあるよい絵を描いて頂いたのだなと感じました。

 私は原画(題字が乗っていない状態)の段階でこの絵を見ているのですが、タイトルで隠れてしまった水島の足元の描写が実はすごく魅力的です。風が草原をざわめかせている絵で、そのあたりの雰囲気を、田中さんはアンドリュー・ワイエスのイメージでお描きになったそうです。いつか画集で再確認できる日がくるとよいなと思っています。

 普段の田中さんの絵と比べると、女性的な優しさを全面に出して下さっており、とりわけ印象に残ったのが、開かれた窓がモチーフになっていること(ここにも風がある)、そして登場人物ふたりが、「向き合って見つめ合ったり」「寄り添ったり」しているのではなく、「背を向け合って」配置されていることでした。

 読者の方からは、本作について「年の差カップルの話」だとか「スゥイートなラブストーリー」だとかよく言われるのですが、私自身はこの作品を恋愛ものとして書いた意識はまったくありません。人生経験の未熟さから恋愛だと思い込んでいる女の子と、それがわかっているから恋ではなく大人の情で接しているだけの(自分の死に場所を探している番犬のような)中年男性が、ほんのいっとき、周囲の状況によって同じ場所にいただけだと――。だからこのあと、ふたりはすぐに別れて、それぞれの生き方を進んでゆくことになるのだと――そういう設定で書きましたので、この背を向け合った表紙絵は、実にテーマに沿った絵だといまでもうれしく思うのです。
2007/08/08(水) 06:33 | URL | 上田早夕里#-
コメントを投稿する
URL:
Comment:
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://ueda8.blog25.fc2.com/tb.php/85-759fae55
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上田早夕里さんが書かれた小説『火星ダーク・バラード』の表紙絵を田中氏が担当。 第...
2008/02/12(火) 12:56:27 | 第七公団.net