
「SF Japan 2007 WINTER」(徳間書店)が発売になりました。今号には、ふたつの「競作」があります。
ひとつは、同一のイラストに小説を書く競作。山田正紀さん、神林長平さんが執筆。
もうひとつは、過去の日本SF新人賞受賞作家による短編の競作です。こちらはテーマなどに縛りがあるわけではなく〈新人賞作家特集〉といった雰囲気。掲載作品名は以下の通りです。
・木立嶺 「馬と車」
・八杉将司 「うつろなテレポーター」
・青木和 「たたりつき」
・坂本康宏 「超鋼戦士カメダキクオ最後の戦い」
・北國浩二 「靄の中」
・タタツシンイチ 「親友」
少しだけ内容を紹介しておきますと――。
木立嶺さん「馬と車」は歴史改変SFに属する作品。現実の日本とは異質に発展した日本を描く。硬質な文体が独特のイメージを紡ぎ出す。
八杉将司さん「うつろなテレポーター」はグレッグ・イーガンの諸作品にも通底する人工知性と人間の関係性がベースにある作品。人工的に作られた知性が持つ、生身の人間とは違う視点や価値観とは? 量子テレポーテーション、並行世界、知性の本質などに迫る一作です。
青木和さん「たたりつき」はタイトルから連想されるようなホラー風味ではなく、日本社会ならではの「ヒトと神」の関係性を描いたもの。筋の通ったほんわかムードな味わい。
坂本康宏さん「超鋼戦士カメダキクオ最後の戦い」は企業に雇われているヒーローという等身大の戦士の悲喜交々を描いた作品。いつものように熱いです。
北國浩二さん「靄の中」はハードボイルドタッチのホラーSF。最後の最後に出てくるオチが見事です。さりげなくさらりと書かれていますが、このオチの意味に気づくと物語としての衝撃があります。ちょっと長編で読んでみたいネタです。
タタツシンイチさん「親友」は、近い将来、人間が日常的にアンドロイドと共存したときに必ず起きるのではないかと思える問題を含んだ一作。この結末を、人間にとって幸福と見るか、ぞっとするほど恐ろしくて皮肉なオチと見るかは、読者の価値観によって差が出るかもしれませんね。
また、同新人賞出身の三島浩司さんの新作が、現在発売中です。19日付け発売となっているデータもありますが、Amazon.co.jp では入荷済みです。

●三島浩司『シオンシステム』(徳間書店)
山田正紀氏推薦。第4回日本SF新人賞受賞作家による、壮大なSFサスペンスの登場。
なお、昨日付で、今年のSF関係受賞ニュースが出揃いました。以下は、日本SF作家クラブの公式サイトに発表が載っています。
●第28回SF大賞受賞作
最相葉月さんの『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)が受賞です。おめでとうございます。
●第9回日本SF新人賞
今年は大賞が二作出ました(現時点では佳作の報告はありません)。
中里友香さん『黒十字サナトリウム』
黒葉雅人さん『宇宙細胞』
おめでとうございます。
●第3回日本SF評論賞
大賞は宮野由梨香さんの〈光瀬龍『百億の昼と千億の夜』小論 旧ハヤカワ文庫版「あとがきにかえて」の謎〉
選考委員特別賞は、藤田直哉さんの〈消失点、暗黒の塔――『暗黒の塔』V部、VI部、VII部を検討する〉
おめでとうございます。
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