日々の雑事と、小説に関する事柄を不定期に。

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 表紙が一枚絵なのがわかるように、第一巻と第二巻の書影を並べて配置してみました。
 『歩兵型戦闘車両〇〇(ダブルオー)』で第三回日本SF新人賞佳作を受賞した坂本康宏さんは、以後「SF-Japan」での短編発表も含めて、一直線にSF道を驀進しています。早川書房の「Jコレクション」にも一冊著作があります(『シン・マシン』)が、今回の作品はハヤカワJA文庫から。(1)(2)でストーリーは完結していますが、これは続編が書けそうな設定でもありますね。

 戦隊ヒーローものに愛着のない私が読んでも面白いのかな?と心配しながらページをめくり始めましたが、よけいな心配でした。(2)の解説で梶尾真治さんが「変格企業小説」と評しているのが言い得て妙です。これは、ある年齢以上の大人が読んだほうが胸を熱くする作品でしょうね。笑いがあり、ペーソスがあり、読み手をぐいぐい引き込むストーリー性があり、何よりもデビュー作以降一貫している、ほとばしるような熱い情熱に満ちています。戦隊ヒーローもののパロディみたいな面を持ちながら、個人の物語に深く言及しているところも著者ならではの魅力です。脇役なのですが、実報寺の父親の侠気には泣けますね。

 あと、ささいなことですが、私は「壁からヒヨコが……」のエピソードがなぜかツボに入ってしまい、大うけしてしまいました。なぜ?と問われると説明は難しいのですが、その場面を想像しただけで頬が緩んでしまったのです。この作品風に言うなら、潜在心理的に何かあるのかもしれません。

※追記(2007.1.16):
著者の坂本康宏さんが、以下の場所で、この作品の登場人物名の由来について、ちょっと面白い記事を書いている。一種のネタバレとも言えるものなので、作品読了後のアクセスをお薦めします。
http://blog.livedoor.jp/crescent_face1984/archives/50507151.html
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 なかなか読む時間が取れず、紹介が遅くなってしまいました。本作は刊行と同時に、あちこちで話題になっているようですね。

 『ルドルフ・カイヨワの憂鬱』で第五回日本SF新人賞佳作を受賞した北國浩二さんの新作は、SFではなくミステリです。端正な文体や会話を丁寧に積み上げながら、じっくりと物語を展開してゆく作風は、ジャンルが違っても、この著者の作品に共通する特徴と言えるでしょう。

 早老症という題材をめぐって描かれる登場人物たちの心情は、非常に切なく、また同時に激しく恐ろしいものです。著者は、デビュー作『ルドルフ・カイヨワの憂鬱』で生命倫理の問題を通して人類という種族そのものの罪業を描きましたが、本作では日常的な個人の罪業を描いています。読了後、結局、誰が一番罪深い人間であったのか?と問うとき、答は読者の数だけあるのでしょう。私には全員が罪人(つみびと)に思えました。作中に出てくるイルカの童話や、イルカと主人公の父親とのエピソードが作品のテーマを見事に集約しています。
 読後の何ともいえない切なさ、やりきれなさは、東野圭吾さんの初期作品(『放課後』や『魔球』の頃の)に共通するものがあるように個人的には感じました。人間の罪業に対する冷静な考え方も、少し似ているかもしれません。

 SFでデビューした著者が、この作品を通過した後にどういう方向へ進むのか、これから先が非常に楽しみです。